2015/12/27

Ludwig Pfeiffer “Handbuch der Angewandten Anatomie” (1899)







Ludwig Pfeiffer “Handbuch der Angewandten Anatomie” 503pp, Otto spamer, Leipzig, 1899

ワイマール美術学校の教師Ludwig Pfeifferによる“Handbuch der Angewandten Anatomie(応用解剖学のハンドブック)
 19世紀末に登場する体系化をこころみた美術解剖書の一つである。衣服に応用されている点が特殊である。まず人体のプロポーションなどの正常構造を示し、巻末では側湾症や肥満体など特殊な体型の解説が行われている。側湾症などに対応した衣服の作図は、衣服デザインを学ぶ人々にとって重要な資料であろう。解剖図はSchider、Richerらに基づく。
 日本にも「衣服解剖学」や「服装解剖学」があるが、その成立は20世紀に入ってからのことであった。衣服のための解剖学の流れを作った西田正秋の膨大な蔵書の中には、本書もしくは本書に影響を受けた資料があったかもしれない。

(初版、筆者蔵)

2015/12/23

Constantino Squanquerillo “Trattato di anatomia pittorica” (1841)





Constantino Squanquerillo “Trattato di anatomia pittorica” 64pp+64plates, Tiopgrafia delle belle arti, Roma, 1841

イタリアの解剖学者Constantino Squanquerilloによる“Trattato di anatomia pittorica(画家のための解剖図譜)”。
 大判の美術解剖アトラスである。全身の解剖図はAlbinusに基づいているが、局所図などは新たに用意されており、全体としてはオリジナリティーの高い図譜になっている。上肢の解剖図にMichelangelo作のモーセ像のエコルシェが描かれている。ほかに脳や 腺、 内臓、巻末には馬の解剖図が掲載され、血管神経を除く全身の構造を一通り網羅している。内臓はMedicoの図を踏襲している。
(初版、筆者蔵)

2015/12/22

Achille Lombardini “Manuale di anatomia pittorica” (1886)



 

Achille Lombardini “Manuale di anatomia pittorica” 118pp, Ulrico Hoepli, Milano, 1886

イタリアの医師Achille Lombardiniによる“Manuale di anatomia pittorica(絵画解剖学の教科書)”
 本書の大きさはw10.5cm x h15cmで、調査した中でも最小サイズである。内容は、全身の筋骨格、表情、彫刻、肖像などの絵画が含まれ、解剖図はDuvalから引用している。図版は木口木版のみならず、モノクロ写真も含まれる。小さな紙面をカバーするための折り込みページも見られる。タイトルには絵画と書いているが、彫刻の解説も含まれており、写真や図版を元にして美術作品の解説も行っている。
 やはり小型書籍は普及しやすいのか、本書は20世紀半ばまで出版された。
(第二版、筆者蔵)

2015/12/17

Hippolyte Pauquet “Recueil d'anatomie portatif à l'usage des artistes” (1855)




Hippolyte Pauquet “Recueil d'anatomie portatif à l'usage des artistes” 55pp, Alph. St. Martin, Paris, 1855

フランスの銅版画家Hippolyte Pauquet(1797-1871)による“Recueil d'anatomie portatif à l'usage des artistes(芸術家のための携帯解剖学集成)Pauquetはコスチュームの歴史画で有名である。
 3巻1組のハンドブックで、1巻は頭部と手足、2巻は肩から遠位の上肢と下肢、3巻は全身と単体の筋に分類される。図版はAlbinusやHoudonに基づき、骨格や筋の全身図と局所図が三方向から描かれている。左右で誤解のないようにするためか、反転した図版も見られる。テキストによる解説などはなく、巻末にインデックスが添えられている。
 3巻の扉絵にはHoudonやSalvageの名前も見られ、両者の影響力の強さがうかがえる。
(ウェブアーカイブ版)


2015/12/16

Adolf Zeising “Neue Lehre von den Proportion des menschlichen Körpers” (1854)




Adolf Zeising “Neue Lehre von den Proportion des menschlichen Körpers” 479pp, Rudolph Weigel, Leipzig, 1854

ドイツの心理学者Adolf Zeising(1810-1876)による“Neue Lehre von den Proportion des menschlichen Körpers(人体プロポーションの新理論)Zeisingは黄金比などの研究を行っていた。
 人体プロポーションの書籍であるが、古典彫刻、多面体、動植物、古代建築などのプロポーションにも言及している。平面的計測によるプロポーションのため分割が細かく一見して複雑になっている。中には骨格によるプロポーションも提案している。
 人体プロポーションは美術解剖学の体表的なアプローチの一つである。平面的なプロポーションは、書籍などの図版には都合が良いが、絵画表現など往々にして立体的な情報が事実と異なるため、参考には注意が必要である。
(ウェブアーカイブ版)

2015/12/15

Alphonse Lami “Anatomie artistique Myologie superficielle du corps humain” (1861)





Alphonse Lami “Anatomie artistique Myologie superficielle du corps humain” 12pp +10plates,  J-B. Baillièle, Paris, 1861

フランスの彫刻家Alphonse Lami(1822-1867)による“Anatomie artistique Myologie superficielle du corps humain(美術解剖学 浅層の筋学)。図版はE. Rosetteによる。
 大判のアトラスである。ページ数や体裁はLucaeに似る。図版はスコップに両手と左足をかけ、土を耕す姿勢のエコルシェに基づき、全身図の前・側・後面と、頭部、体幹、上肢、下肢の局所図が計10枚描かれている。この図版はほかに例を見ないが、1830-1870年代のフランスで流行したバルビゾン派を意識している。
 エコルシェも制作され、モンペリエの解剖学博物館に収蔵されている。大判のアトラスはオリジナリティーの高いものが多い。
(eBooks on Demand版 筆者蔵、*画像はwikiから引用した)

2015/12/11

Richard Lewis Bean “Anatomy for the use of Artists” (1841)



Richard Lewis Bean “Anatomy for the use of Artists” 47pp, 10pl, H. Renshaw, London, 1841

イギリス、キングスカレッジの開業外科医Richard Lewis Beanによる“Anatomy for the use of Artists(芸術家用解剖学)
 美術解剖学の概要を記したハンドブックで、全身と骨格と浅層筋の解剖図と手足の骨格・筋の局所解剖図が掲載されている。全身図はHoudonのエコルシェに基づき、前面と後面図が描かれ、骨格図はスーパーインポーズ法を用いて描かれている。
 19世紀の解剖書には現在の書籍の体裁と比較して非常に薄い書籍が見られる。どういった経緯で出版されたのか気になるところである。
(ウェブアーカイブ版)

2015/12/07

Charles Bell “Essays on the anatomy of Expression in painting” (1806)




Charles Bell “Essays on the anatomy of Expression in painting” 212pp, Longman, London, 1806

スコットランドの外科医Charles Bell(1774-1842)による“Essays on the anatomy of Expression in painting(絵画表現における解剖学のエッセイ)
 本書は7章立てになっており、1)美術大学での素描と解剖学について、2)個人差や古典彫刻の顔面について、3, 4)顔面の筋や動物の頭部について、5)表情について、6)動作や死と睡眠について、7)生体の絵画表現について、などが掲載されている。短文を編纂したエッセイのため、内容は大まかに分けられてはいるものの体系化されていない。図版はスケッチ調の挿絵で、解剖図的な詳細さはないが趣がある。
(ウェブアーカイブ版)