2016/10/27

Cousin, Jean. "L’Art de dessiner" 1802(reprint ed.)




クザン『図面の芸術』(1802)
Cousin, Jean. L’Art de dessiner. Paris: Chez Joubert; 1802(reprint ed.) / 195 x 265mm, 74pp.

クザン(Cousin the younger, Jean.1522-1595)による人体に関する美術技法書.おそらく16世紀に出版された『肖像の書籍』の簡易版であろう.版の古いものでは1688年のものがあるが初版年は現在のところ不明.ほぼ同じ図版が使用されているが,体幹の側面図などは簡易的な線描に置き換えられている.
 19世紀中期以前の解剖図は,しばしば体表の輪郭が筋肉のボリュームに含まれる.本書の出版当時は美術技法書の一部に解剖学を含むのみで、美術解剖学といった単独の学問はなかった。

(1802年版,筆者蔵)

2016/10/05

Update: Lanteri, Edouard. "Modelling a guide for teachers and sculptures vol.III" (1911)






ランテリ『モデリング:講師と学生のためのガイド』(1911)
Lanteri, Edouard. Modelling a guide for teachers and sculptures vol.III. London: Chapman and Hall; 1911. / 243×143mm, 233pp.
著者:1848-1917. イギリスの彫刻家.ロイヤルカレッジの塑像コース教授.

 ランテリによる『モデリング』の第3巻.内容は著者による塑像デモンストレーションの写真と図版が掲載され,動物解剖学と石膏取りの解説が主体になっている.馬,ライオン,牛の筋肉図と骨格図が描かれている.掲載順序は筋肉の次に骨格で,表層のボリューム把握が重要視されている.解剖図は左側面と右側面でそれぞれ用意されており、読者がすぐに参照できるようになっている.巻頭のロダンの謝辞は仏語とその英訳が見開きで掲載されている.
 アメリカのドーヴァー出版社から出版されたリプリント版は、タイトルが “Modelling and Sculpture(塑像と彫刻)”になっている.
(初版,筆者蔵)

2016/10/04

Nishida, Masaaki "Jintai bigaku (Aesthetics of human body) vol.1, 2" (1992, 93)


『西田正秋著作集 人体美学 美術解剖学を基礎として 上・下』(1992, 93)
Nishida, Masaaki. Jintai bigaku (Aesthetics of human body) vol.1, 2. Tokyo: gendaisha; 1992, 93. / 258×182mm, 440pp+510pp
著者:1901-1988. 日本の美術解剖学者.東京藝術大学4代目美術解剖学教授(1926-69),文化服装学院専任教員(1969-81),文化女子大学教授(1972-79, 非常勤講師-84)

 西田正秋による膨大な論考を没後にまとめた著作集.西田は久米桂一郎の後を継ぎ,43年もの間,東京芸術大学で美術解剖学の教鞭をとった.授業内容は久米と同じくリシェに基づいたものであったが,授業のために書き溜めたノートや研究の多くが戦火で焼失している.
 内容は筋骨格を教えるための体系的な美術解剖学書ではなく,西田の多岐にわたる美術作品の解析研究を東京藝術大学や文化服装学院の教え子たちがまとめたものになっている.西田による描き起こしの図版がふんだんに添えられた美術解剖学の解析は,西洋美術のみならず東洋美術も含まれる.これまで論じられていなかった東洋美術の美術解剖学的な解析は,その後の日本の美術解剖学の芸術学的な側面の基礎となった.
(初版,筆者蔵)

2016/10/03

Ellwood / Yerbury "Studies of the human figure" (1921)







エルウッド/イェーブリー『人体の学習』(1921)
Ellwood, George Montague. / Yerbury, Francis Rowland. Studies of the human figure: with some note on drawing and anatomy.  London: B. T. Batsford; 1921. / 28pp + 177plates.
著者:エルウッド(1875-1955).イギリスのデザイナー,家具装飾家,イラストレーター.カムデン美術学校卒業./イェーブリー(1885-1970?).イギリスの写真家.

 人体表現用の写真資料集である.前半は素描の描き方と解剖学の概要に関する解説と参考作例の図版.巻末は人体写真による資料集になっている.素描とエコルシェには作者名と学校名が記載されている.写真はメインが女性である.
 美術解剖学のモデルは比較的構造観察が容易な男性が用いられることが多いが,20世紀以降の人体素描などの教本では外形がなだらかな女性が用いられることが多い.
(初版,筆者蔵)

2016/09/28

Update: Kollmann, Julius Konstantin Ernst. "Plastische Anatomie des Mmenschlichen Körpers" (1886)






コルマン『人体の造形解剖学』(1886)
Kollmann, Julius Konstantin Ernst. Plastische Anatomie des Mmenschlichen Körpers. Leipzig: Verlag von Veit & Comp; 1886. / 235×163mm, 624pp.
著者:1834-1918. ドイツの解剖学者,発生学者.ミュンヘン大学臨時教授(1870-8),バーゼル大学解剖学教授(1878-1913).
画家:シダー(Schider, Fritz. 1846-1907).ドイツの画家.コルマンのアシスタント.

 初版にはサンドウ(Sandow, Eugen. 1867-1925)らをモデルにした写真図版が含まれていない.同じ図版を別のページでも使用している点は新装版と同様である.前のページに振り返って参照するというよりは、連続的に読んでほしいという計画がうかがえる.
 コルマンの美術解剖学書は,解剖所見から得られた図だけでなく,様々な書籍を編纂したものになっている.アルビヌスの骨格図や,サルベージのグラディエーターは局所図として新たに描き起こされた.ルカエの女性トルソ図骨格のプロポーション図も見られる.
 通常,腰椎は側屈方向の可動域が少ないとされるが,コルマンの図では大きく左側に屈曲していて興味深い.
(初版,筆者蔵)

2016/09/23

Update: Duval, Mathias. "Précis d'anatomie a l'usage des artistes" (1881)




 


デュヴァル『芸術家のための解剖学』(1881)
Duval, Mathias. Précis d'anatomie a l'usage des artistes. Paris: A. Quantin; 1881. / 208×135mm, 336pp.
著者:1844-1907. フランスの解剖学者,国立高等美術学校の解剖学教授.
画家:キュイエ(Cuyer Edouard. 1852-1909.)フランス国立高等美術学校出身の画家,彫刻家.高等美術学校の講師,パリ市立美術学校の教授,デュヴァルのアシスタント.

フランス国立高等美術学校の解剖学講座の教授デュヴァルによる美術解剖書.リシェが出版されるまでは影響力のあった書籍で,英訳など翻訳版がヨーロッパに普及した.引用は,サルベージの他にキャンパーとデュシェンヌが見られる.
(新装版,筆者蔵)