2015/05/01

William Rimier "Falling Gladiator" (1861)




Falling Gladiator by William Rimier,1861, 160 x 104.1 x 86.8cm
ニューヨーク・メトロポリタン美術館(ギャラリー700)など

"Art Anatomy"(1877年)の著者William Rimmerによる彫刻"Falling Gladiator"。このライフサイズの像は、美術解剖の著書を出版する16年前の1861年に制作され、ニューヨークのメトロポリタン美術館(ブロンズ像)やアメリカン・アート・ミュージアム(石膏像)などに収蔵されている。Rimmerの図を知っていると意外に感じられるが、表現のクセ(特に頭部)やプロポーションなどが自然である。
 像は左にねじれながら大きく弓なりに後傾した姿勢をとる。真上に向かうように屈曲させて背側に向けられた右手は折れた剣を持ち、敗れた拳闘士が崩れゆく一瞬を捉えている。筋の構造観察にも向いており、右上腕から腋窩にかけて、左頚部、左の腹斜筋群のふくらみ、緊張した左大腿、そして背面の筋とエコルシェとしても十分なほど鑑賞のポイントが充実している。この姿勢によって強調された胸部から腹部の正中にかけて観察出来る胸郭と大胸筋、腹直筋がつくる体節のリズムは、ながい進化の歴史を想起させてくれる。

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