Paul Poirier “Traite de anatomie humaine Tome 1 premier Embryologie Osteology” L. Battaile et Cie, Paris, 1892
フランスの解剖学者ポール・ポワリエ(Paul Poirier)による“Traite de anatomie humanie”の第1巻。内容は、発生学、骨学、靭帯学で、そのうち骨学の図版の大半はエコール・デ・ボザールの美術解剖学教授マティアス・デュヴァル(Mathias Duval, 1844-1907)のアシスタントを務めたエドゥアルド・キュイエ(Édouard Cuyer, 1852-1909)が手がけている。キュイエの図は傍に「Ed. Cuyer」とサインが入っているので判別しやすい。
本書は医学書であるため、デュヴァルとの共著である『美術解剖学』よりもキュイエの手がけた図版は多い。とくに骨における筋のフットプリント(付着部位)を表した図は、腱性の付着と、筋性の付着が書き分けられており、現在のものよりも詳細である。この詳細な情報量には頭がさがる。
美術解剖学領域の人物が医学領域の図版を手がけている点で、20世紀初頭における両学問の距離は現在よりも近かったと考えられる。第2巻にはデュヴァルの後任であるポール・リシェが関わった。
(初版、筆者蔵)
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