2016/09/16

Nakamura, Fusetsu "Geijutsu kaibougaku (Artistic anatomy)" (1915)






中村不折『藝術解剖學』日本美術学院,大正4(1915)年
Nakamura, Fusetsu. Geijutsu kaibougaku (Artistic anatomy). Tokyo: Nihon bijutsu gakuin; 1915. / 220×152mm, 185pp+30plates.
著者:1866-1943. 日本の洋画家.太平洋美術学校校長.

 中村不折は日本の著名な洋画家である.久米桂一郎の師であるラファエル・コラン(1850-1916)に師事した.オーギュスト・ロダン(1840-1917)にも面会し,後年ロダンに弟子入りする萩原禄山(1879-1910)の面倒も見た.
 本書はリシェをベースとする美術解剖学書で,多色刷り木版画の簡素な図が本文とともに掲載されている.リシェの解説にはない,呼吸器や胸腹部内臓,深層の筋などは引用元が不明だが,医学系の解剖学書から引用されたようである.随所に手探りで解剖学を学んだ印象がうかがえる.
 大腿筋膜の肥厚部(Richer's band)は大腿横腱膜となっている.大腿筋膜の肥厚部は,腸脛靭帯の表面から起こり,内側広筋の内側縁あたりにかけて横走する繊維走行のはっきりした結合組織である.不折の掲載した名称は,肉眼で見た印象に近い.
(第4版,筆者蔵)

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