2015/06/10

Robert Beverly Hale / Terence Coyle “ALBINUS ON ANATOMY” (1988)



Robert Beverly Hale / Terence Coyle “ALBINUS ON ANATOMY” 208pp, Dover, New York, 1988

アート・スチューデンツ・リーグ・オブ・ニューヨークの講師Hale(1901-1985)と、同じくアート・スチューデンツ・リーグ・オブ・ニューヨークの講師Terence Coyle(1925-)による“ALBINUS ON ANATOMY”。Coyleは1974年以来リーグで講師を続けている。本書はWatson-Guptill社より1979年に出版された“ALBINUS ON ANATOMY”のリプリント版で、Haleの没後にDover Publications社から出版するにあたって序文をCoyleが書いた。原著は、オランダの解剖学者Bernhard Siegfried Albinus(1697-1770)が1747年に出版した大型書のTablae sceleti et musculorum corps humani”である。銅版画はJan Wandelaar(1690-1759)が描いた。18世紀の医学書であるが、美術講師が翻訳し、美術系の出版社からの出版のため、美術解剖書として掲載した。
 単一の筋を示した図のレイアウトが原著から変更されているのと、胸郭や骨盤など単一の図がないものは、全体図から拡大して説明の補助に用いている。拡大した図ではWandelaarの極めて高度な銅版技術がよく観察できる。
(リプリント版、筆者蔵)

Human proportion by Gottfried Bammes


Human proportion by Gottfried Bammes

ドイツの解剖学者Bammesによるプロポーション図。この図は書籍の表紙に箔押しされた図で、本文中には出てこない。8頭身プロポーションであるが、骨格の省略が興味深い。
  頭部の高さを1とし、鎖骨はその半分の高さを下った位置に水平に伸び、胸郭は外縁と剣状突起付近の一部のみが描かれている。肩関節の上腕骨頭と股関節の大腿骨頭は球になっている。肘関節は内側に上腕骨滑車と外側に上腕骨小頭が描かれ、前腕には橈骨頭から尺骨頭にかけて回内・回外の軸が描かれている。橈骨頭は手根骨と直接関節しないため、手根の位置が橈側にある。前腕に運搬角と大腿に頸体角が描かれ、大腿骨の大転子も見られる。骨盤は腸骨稜と上前腸骨棘、骨盤下口が描かれている。膝関節は水平線で描かれ、脛骨粗面や体表に近い形状が描かれている。
 単純化して説明する際に肝要な部分が多く含まれた図で、美術解剖の教育にも有効であろう。
(筆者模写)

2015/06/09

Proportion of human head by Gottfried Bammes


Proportion of human head by Gottfried Bammes

ドイツの解剖学者Bammesによる頭部のプロポーション図。側面観と正面観のに種類の図がある。脳頭蓋と顔面頭蓋に分けているのが特徴で、側面観の図では楕円形の脳頭蓋が印象的である。フランクフルト平面は設定されていない。プロポーションに骨格を含むのは美術解剖ならではの見方であろう。
 オリジナルの図は頭蓋骨がグレーのベタ塗りでシルエットになっており、頭蓋のシルエットに重なる目鼻口は白で描かれている。
(筆者模写)

2015/06/08

Wilhelm Ellenberger, Hermann Dittrich, Hermann Baum “AN ATLAS OF ANIMAL ANATOMY FOR ARTISTS” (1956)



Wilhelm Ellenberger, Hermann Dittrich, Hermann Baum “AN ATLAS OF ANIMAL ANATOMY FOR ARTISTS” 151pp, Dover, New York, 1956

ドイツの動物解剖学者のWilhelm Ellenberger(1848-1929)、同じくドイツの動物解剖学者のHermann Baum(1864-1932)による動物解剖学書を編纂した“AN ATLAS OF ANIMAL ANATOMY FOR ARTISTS”。リプリント版(英訳版)の編集はアメリカ自然史博物館のLewis S. Brownによる。EllenbergerとBaumはドイツの近代動物解剖学の始祖とされる。図版はメディカルイラストレーターのHermann Dittrichが描いた。元々はそれぞれの動物ごとに出版された書籍であったが、リプリント版の出版に当たって一冊にまとめられた。原著は巻末に記載されている。
 掲載されている動物は、馬(サラブレッド)、犬(ラブラドール・レトリバー)、ライオン(雌)、牛(雌牛、雄牛)、鹿(シカ、ノロジカ、ヤギ)の解剖図のほかに、付録としてイギリスの画家George Stubbs(1724-1806)による馬、フランスの動物学者Hercule Strauss-Durkheim(1790-1865)による猫、フランスの動物学者Georges Cuvier(1769-1832)による猿、アザラシ、兎、カンガルー、リス、コウモリの解剖図が掲載されている。
 リトグラフによる図版は極めて緻密で美しく、写真と見紛うほどである。真正面、真後ろからの難しい視点のみならず、真上からの視点で描かれている図もある。
 現行版の表紙にはなぜかStubbsの解剖図が使用されている。
(リプリント版、筆者蔵)

2015/06/03

Paul Richer “Nouvelle Anatomie artistique LES ANIMAUX I Le Cheval” (1910)



Paul Richer “Nouvelle Anatomie artistique LES ANIMAUX I Le Cheval” 67pp, LIBRAIRIE PLON, Paris, 1910

フランスの解剖学者Richer(1849-1933)による“Nouvelle Anatomie artistique LES ANIMAUX I Le Cheval(新しい美術解剖 動物1 馬)。「美術のための解剖学」には、人体解剖学の他に動物解剖学がある。動物の解剖学には、人体をより深く理解するための比較解剖学と、動物の形状を製作するための目的があるが、本書は本書は頭蓋を除いて馬の構造に焦点が当てられているため、後者的な意味合いが強い。騎馬像など馬は美術史で最も多く登場する動物の一つで、解剖学的な内容の需要も高い。
 内容はRicherの人体に関する書籍と比べて概説的であるが、関節の内部構造、品種による頸部や胴体の差異、蹄の形状、脚のバリエーションなど形態のポイントが多数示されている。巻末にはEdweard Muybridge(1830-1904)の連続写真を彷彿させる図もある。
 Richerはしばしば写真をトレースして図版や模型を作成した。写真をそのまま用いず、図に置き換えるのは、この時代の文字と写真を同一のページに配置した書籍によく見られる。
(初版、筆者蔵)

other volumes: IIIIIIIVVVIAnimaux

2015/06/02

George B. Bridgman / Ben Pinchot “Drawing the Female Form” (2005)


George B. Bridgman / Ben Pinchot “Drawing the Female Form” 64pp, Dover, New York, 2005

アート・スチューデンツ・リーグ・オブ・ニューヨークの講師であったBridgmanとアメリカの写真家Ben Pinchot(1890-1986)による“Drawing the Female Form”。原題は“Female form”(1935)でPinchotが第一著者となっている。
 本書はPinchotによる裸体写真と、それに基づくBridgmanによる構造的な素描が掲載されている。テキストはPinchotによる導入文の2ページのみで、その後は見開きで写真と素描が淡々と掲載されていく。素描は要点を描いたり部分的であるが、写真とともに掲載されることによって、読者が形を探したり、見比べる効果がある。
 モデルはアメリカ人ダンサーのDesha Delteil(1899-1980)とJean Myrio。Desha Delteilは美術モデルとしても有名であった。
(リプリント版、筆者蔵)

2015/06/01

Paul Richer “Nouvelle Anatomie artistique VI_Le nu dans l’Art_L’ Art Chrétien” (1929)




Paul Richer “Nouvelle Anatomie artistique VI cours supérieur (Suite) Le nu dans l’Art L’ Art Chrétien Depuis les origines jusqu’à la Renaissance” 253pp, LIBRAIRIE PLON, Paris, 1929

フランスの解剖学者Richer(1849-1933)による “Nouvelle Anatomie artistique VI cours supérieur (Suite) Le nu dans l’Art L’ Art Chrétien Depuis les origines jusqu’à la Renaissance (新しい美術解剖 第6巻 芸術の中のヌード キリスト教美術 その起源からルネサンスまで)”。本書はRicherがボザール退官後(就任1903-1922)に手がけた最晩年の美術解剖書になる。
 古代ローマ時代の壁画から、初期ルネサンスまでのキリスト教美術における人体表現を解析した内容になっている。ローマ美術、ビザンチン美術、ゴシック美術、初期ルネサンスの有名作の図版と解説が並ぶ。それぞれ身体の露出している箇所は少ないため、美術解剖というよりは、芸術学的な趣がある。「動作の姿勢」という項目では有名なVillard de Honnecourt(wiki)による姿勢の概念図が掲載されている。
 Nouvelle Anatomy artistiqueシリーズは本書が最後になっており、この後の時代のレオナルドやミケランジェロの研究が残らなかったのは残念である。
(初版・筆者蔵)

other volumes: IIIIIIIVVVIAnimaux