2016/08/31

McClellan, George "Anatomy in its relation to art" (1901)






マクレラン『美術に関係する解剖学』(1901)
McClellan, George. Anatomy in its relation to art. Philadelphia: W. B. Sunders; 1901 / 141pp + 125plates.
著者:1849-1913. アメリカの医師,ジェファーソン医学校卒,ペンシルバニア解剖外科学校の教授(1881-93),ペンシルバニア美術学校の美術解剖学講師(1890?-1913).同名の祖父(1796-1847)も外科医.

 アメリカの医師,マクレランの美術解剖学書.本書は著者による写真をベースにした美術解剖学書で、骨格模型や男女のモデルの体表写真が主になっている.靭帯や筋肉の図は写真ではなく簡素なイラストレーションになっている.古典彫刻と同じポーズや古代の衣装を着つけた人体写真は,他の美術解剖書に比べて数が多く,資料的価値が高い.
 美術解剖学の影響として,ウードンのエコルシェと,運動の姿勢を表す体表写真にリシェの引用が見られる.
 全ての図版は,淡く明るいトーンに仕上がっている.図版の観察には少し不明瞭に感じるが,マクレランの医学書のように彩色する計画などがあったのだろうか.
(初版,筆者蔵)

2016/08/25

Haydon, Benjamin Robert. "Lectures on painting and design" (1844)




ハイドン『絵画とデザインの講義』(1844)
Haydon, Benjamin Robert. Lectures on painting and design. London: Longman, Brown, Green, and Longman; 1844. / 212x140mm, 331pp.
著者:1786-1846. イギリスの画家,歴史画家.
画家:エヴァンス(Evans, Edward. 銅版画家)

見開きに銅版画と本文中に木版画による局所解剖図が掲載されている.木版画は著者の手によるオリジナルのもの.
 内容は,ハイドンによる絵画の講義形式で記述され,骨格と筋の情報を主体とする解剖学に加え,色彩や表現など絵画技法なども記述されている.解剖学には比較解剖学が含まれ、蹠行性のヒトとクマの骨格図などが掲載されている.
(初版,筆者蔵)

2016/08/24

Reference: McClellan, George. "Regional anatomy in its relation to medicine and surgery" (1891)





マクレラン『医学と手術に関係する局所解剖学』(1891)
McClellan, George. Regional anatomy in its relation to medicine and surgery. Philadelphia: J. B. Lippincott; 1891. / 436pp + 414pp.
著者:1849-1913. アメリカの医師,ジェファーソン医学校卒,ペンシルバニア解剖外科学校の教授(1881-93),ペンシルバニア美術学校の美術解剖学講師(1890?-1913).同名の祖父(1796-1847)も外科医.

 2巻組の写真アトラスである.マクレランの残した解剖学書は2冊あり,1891年の医学書と1901年の美術解剖学書がある.本書は前者の医学向けの解剖学書で,著者の手による写真をもとにした図版が使用されている.モノクロ写真の上に補彩して図版を作成しているためディティールは明瞭ではないが,形態の写実性は高い.
(初版,筆者蔵)

2016/08/23

Rodríguez, Tiberio Ávila. "Anatomía y fisiología para uso de los artistas Tomo 1" (1905)







ロドリゲス『芸術家のための解剖生理学 第1巻』
Rodríguez, Tiberio Ávila. Anatomía y fisiología para uso de los artistas Tomo 1. Barcelona: Fidel Giró; 1905 / 265x215mm, 204pp.
著者:1843-1932. スペインの画家,バルセロナ産業美術学校の解剖生理学の教授.

 ロドリゲスは若き日のピカソに美術解剖学の教鞭をとった.本書はピカソが模写したことが知られている(*1).第2巻は1913年版の本書に追加掲載された.
 図版はオリジナルで描き起こされたものの他に,デュシェンヌやマーシャルフォーを引用している.
(初版,筆者蔵)

*1) http://elpais.com/diario/2011/03/22/galicia/1300792704_850215.html (23.8.2016に閲覧)

2016/08/15

Rodrigues, Francisco de Assis "Methodo das proporcoes, e anatomia do corpo humano, dedica" (1836)



ロドリゲス『人体解剖学専用のプロポーションの方法』(1836)
Rodrigues, Francisco de Assis. Methodo das proporcoes, e anatomia do corpo humano, dedica. Lisboa: Typ. de A. S. Coelho; 1836. / 18pp+1plates.
著者:1801-77. ポルトガルの美術史家.彫刻科の教授.

 解剖学を用いた人体のプロポーション書である.頭身は8でウィトルウィウス式の体型を示している.内容は人体の外観,骨学,筋学の順で掲載されている.図版は人体外観のプロポーション図が一枚のみで,骨と筋は表でまとめて記述されている.
(初版,筆者蔵)

2016/08/01

Referece: Bourgery, Jean Baptiste Marc / Jacob, Nicolas Henri “Traité complet de l'anatomie de l'homme: comprenant la médicine opératoire Tome 5" (1839)




ブルジェル/ジェイコブ『完全な解剖学の論考 第5巻』(1839)
 Bourgery, Jean Baptiste Marc / Jacob, Nicolas Henri. Traité complet de l'anatomie de l'homme: comprenant la médicine opératoire. Tome 5, Atlas. Paris,1839

フランスの解剖学者ブルジェルと画家ヤコブによる『完全な解剖学の論考』第5巻.第5巻は内臓の記述がなされている.内臓はイタリアの美術解剖学書以外にほとんど記載されない.本書の骨学と筋学の図版は,ノックススパークスに引用されたが,内臓の図版は引用されなかった.内臓を原位置で描いた図版もあるため,美術にも応用できそうである.内臓の記述を含む美術解剖書を企画する場合,本書の図版は参考になるだろう.
(初版,筆者蔵)

Reference: Simpson, Ian. "Anatomy of humans" (1991)


シンプソン『人間の解剖学』(1991)
Simpson, Ian. Anatomy of humans. London: Studio Editions; 1991. / 330×228mm, 144pp.

内容は16世紀~19世紀までのイギリスを中心とした解剖図の紹介である.医学の解剖書と美術解剖書の区別はない.以下に掲載を古い順に記載する.

解剖学を学んだ芸術家:レオナルド(1510),レンブラント(1632),ルーベンス(1640-58),リムダイク(1755).
医学書:ヴェサリウスの模写(オリジナルは1543),チェセルデン(1712, 1733),エウスタキウス(1714),アルビヌス(1747),スメリー(1754),ハンター(1774),カンパー(1794),サンディフォート(1793-1835),ブランディン(1826),グレイ(1858).
美術解剖学書:デル・メディコ(1811),フラクスマン(1833).

解剖学と美術解剖学はそれぞれ人体の内部構造を扱うが,最終的な目的が医学と芸術で異なるため,自ずと内容にも差が出る.例えば,美術解剖学では切開した図版はあまり見られない.図版の理解に人体解剖や手術の体験を必要とするためである.
(初版,筆者蔵)