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2016/08/24

Reference: McClellan, George. "Regional anatomy in its relation to medicine and surgery" (1891)





マクレラン『医学と手術に関係する局所解剖学』(1891)
McClellan, George. Regional anatomy in its relation to medicine and surgery. Philadelphia: J. B. Lippincott; 1891. / 436pp + 414pp.
著者:1849-1913. アメリカの医師,ジェファーソン医学校卒,ペンシルバニア解剖外科学校の教授(1881-93),ペンシルバニア美術学校の美術解剖学講師(1890?-1913).同名の祖父(1796-1847)も外科医.

 2巻組の写真アトラスである.マクレランの残した解剖学書は2冊あり,1891年の医学書と1901年の美術解剖学書がある.本書は前者の医学向けの解剖学書で,著者の手による写真をもとにした図版が使用されている.モノクロ写真の上に補彩して図版を作成しているためディティールは明瞭ではないが,形態の写実性は高い.
(初版,筆者蔵)

2016/08/01

Referece: Bourgery, Jean Baptiste Marc / Jacob, Nicolas Henri “Traité complet de l'anatomie de l'homme: comprenant la médicine opératoire Tome 5" (1839)




ブルジェル/ジェイコブ『完全な解剖学の論考 第5巻』(1839)
 Bourgery, Jean Baptiste Marc / Jacob, Nicolas Henri. Traité complet de l'anatomie de l'homme: comprenant la médicine opératoire. Tome 5, Atlas. Paris,1839

フランスの解剖学者ブルジェルと画家ヤコブによる『完全な解剖学の論考』第5巻.第5巻は内臓の記述がなされている.内臓はイタリアの美術解剖学書以外にほとんど記載されない.本書の骨学と筋学の図版は,ノックススパークスに引用されたが,内臓の図版は引用されなかった.内臓を原位置で描いた図版もあるため,美術にも応用できそうである.内臓の記述を含む美術解剖書を企画する場合,本書の図版は参考になるだろう.
(初版,筆者蔵)

Reference: Simpson, Ian. "Anatomy of humans" (1991)


シンプソン『人間の解剖学』(1991)
Simpson, Ian. Anatomy of humans. London: Studio Editions; 1991. / 330×228mm, 144pp.

内容は16世紀~19世紀までのイギリスを中心とした解剖図の紹介である.医学の解剖書と美術解剖書の区別はない.以下に掲載を古い順に記載する.

解剖学を学んだ芸術家:レオナルド(1510),レンブラント(1632),ルーベンス(1640-58),リムダイク(1755).
医学書:ヴェサリウスの模写(オリジナルは1543),チェセルデン(1712, 1733),エウスタキウス(1714),アルビヌス(1747),スメリー(1754),ハンター(1774),カンパー(1794),サンディフォート(1793-1835),ブランディン(1826),グレイ(1858).
美術解剖学書:デル・メディコ(1811),フラクスマン(1833).

解剖学と美術解剖学はそれぞれ人体の内部構造を扱うが,最終的な目的が医学と芸術で異なるため,自ずと内容にも差が出る.例えば,美術解剖学では切開した図版はあまり見られない.図版の理解に人体解剖や手術の体験を必要とするためである.
(初版,筆者蔵)

2016/06/22

Reference: Frohse, Fritz. / Fränkel, Max. "Die Muskeln des Menschlichen Armes und Beines" (1908,1913)










フローゼとフランケル『上肢の筋肉』(1908)
フローゼとフランケル『下肢の筋肉』(1913)
Frohse, Fritz. / Fränkel, Max. Die Muskeln des Menschlichen Armes. Jena: Gustav Fischer; 1908. 
Frohse, Fritz. / Fränkel, Max. Die Muskeln des Menschlichen Beines. Jena: Gustav Fischer; 1913.

 ドイツの解剖学者フローゼとフランケルによる『上肢の筋肉』(1908)と『下肢の筋肉』(1913)。イエナの解剖学教授バーデレベン(Bardeleben, Karl von.)の編集による。筋肉に関する詳細な記述がなされた医学書で、図版にフォーが使用されている。コピーではなく神経の走行など改変が加えられているが、医学書に美術解剖学書が使用されている点が興味深い。
 当時は、美術解剖書と医学書の情報量に現在ほどの差がなかったのかもしれない。
(初版、筆者蔵)

2016/05/30

Reference: Ranice W. Crosby / John Cody “Max Brödel: The Man Who Put Art Into Medicine” 1991


Ranice W. Crosby / John Cody “Max Brödel: The Man Who Put Art Into Medicine” 352pp, Springer, 1991

 ジョンズホプキンス医療研究所に在籍していたメディカル・イラストレーションの父マックス・ブルーデル(1870-1941)の経歴をまとめた書籍である。美術解剖学とメディカル・イラストレーションの志向の違いを知ることができる。
 本文には授業中や講評時の風景写真も掲載されており、解剖図の描写方法を学ぶ教育現場を伺い知ることができる。巻末にはモノクロで作品が掲載されている。
 ブルーデルの描写方法は、主に2種類あり、ペンによるハッチングを駆使して立体的に描く方法と、チャコールペンシルの粉末を画面にこすりつけて陰影をつける方法がある。ぞれぞれ平滑なボードの上に描いていたようだ。
 ブローデルの手がけた図版は、病変や術式を伝えるためのイラストがほとんどであるが、シュパルテホルツの解剖図譜などに図版を提供している。彼の弟子にはメイヨー・クリニックに勤務し、アメリカのメディカル・イラストレーション界に影響を残したラッセル・ドレイクがいる。
(初版、筆者蔵)

2016/05/15

Reference: Samuel Thomas von Soemmerring “Über die Wirkungen der Schnürbruste” 1793 (2nd ed.)



Samuel Thomas von Soemmerring “Über die Wirkungen der Schnürbruste” Berlin, 1793 (2nd ed.)

ドイツの解剖学者サミュエル・トーマス・フォン・ゼンメリング(1755-1830)による『コルセットの影響について』。本論文は医師が医学的見地から衣服の形態を論じたもので、今日の衣服解剖学のきっかけとなるような仕事である。
 ゼンメリングはこの論文で、コルセットによって骨格が歪み、健康が損なわれると説いた。第2版になって図版が添付され、説得力を持って世間に知られることになった(初版は1785年に出版された)。図版は18~19世紀風で、コルセットを着用した中世ヨーロッパ人の女性像の横に、古代ギリシア様式(カピトリーノのヴィーナス像タイプ)の女性像を配して、比較できるようにしている。
 ゼンメリングはコルセットによって胸郭が圧迫を受けて歪むとしているが、実際に下位の肋軟骨がすぼまり、逆さの円錐形になるようだ。シュトラッツの『女体美大系』の中にコルセットによって歪んだ骨格写真と、腹部内臓が下がった模型写真が掲載されている。
 コルセットから人体が解放されるのは、本論が出版された約100年後のことであるが、ゼンメリングの主張は時期尚早であったかというとそうではないと私は考える。ゼンメリングが発信した主張が周辺を巻き込み、大きな流れとなるまでに時間を要したのだろう。
(第2版、筆者蔵)

2016/02/17

Reference: Geisela M. A. Richter “KOUROI” Oxford University press, New York, 1942



Geisela M. A. Richter “KOUROI A STUDY OF THE DEVELOPMENT OF THE GREEK KOUROS FROM THE LATE SEVENTH TO THE EARLY FIFTH CENTURY B.C.” Oxford University press, New York, 1942

イギリスの古代美術史家Geisela M. A. Richter(1882-1972)による“KOUROI A STUDY OF THE DEVELOPMENT OF THE GREEK KOUROS FROM THE LATE SEVENTH TO THE EARLY FIFTH CENTURY B.C.”。ギリシア美術におけるクーロイ(男性裸体立像、複数形:クーロス)像を網羅した研究書である。
 第1図版が、ウードンのエコルシェ(1790年製作)になっており、人体の構造とクーロイ像の比較が行えるようになっている。
 クーロイ像の形態は時代を追うごとに、より自然な人体の形態へ近づいた。しかしながら末期の「クリティオスの青年像」に至っても完全には写実的でなく、様式的な形態の面影を残している。
 ウードンのエコルシェは美術解剖学用の模型としてヨーロッパのアカデミーで使用された。その後時代を経て美術史の比較材料としても用いられるようになった。今日の日本の美術解剖学研究は、美術史や芸術学的な側面を含むが、そうした見方はヨーロッパでも行われていたようである。
(筆者蔵)

2016/02/15

Reference: Paul Poirier “Traité d’anatomie humaine tome 2 deuxiéme” (1896)





Paul Poirier “Traité d’anatomie humaine tome 2 deuxiéme” Masson et Cie, Paris, 1896

フランスの解剖学者ポワリエ(Paul Poirier)による“Traité d’anatomie humaine tome 2 deuxiéme”。第2巻の内容は筋学になっており、図版のほとんどを美術解剖学者のポール・リシェ(Paul Richer)が手がけた。
 リシェのサインはイニシャルの『P』と『R』を重ねたもので、図版の下部に添えられているもので判別ができる。サイン入り図版の多くは “ANATOMIE ARTISTIQUE”(1890)からの再掲載であるが、筋を切断・展開した図や単一の筋を示した図のいくつかは本書が初出である。三角筋の図などの図は後年の “NOUVELLE ANATOMIE ARTISTIQUE”(1906)に再掲載された。
 19世紀後半の美術解剖学の教師は、美術解剖学書に掲載された情報よりも詳細な知識を持っており、医学の解剖学書にも通用する詳細な情報を描いていた。そのことに驚きと喜びを覚える。
(初版、筆者蔵)

2016/02/10

Reference: Paul Poirier “Traite de anatomie humaine Tome 1 premier Embryologie Osteology” L. Battaile et Cie, Paris, 1892




Paul Poirier “Traite de anatomie humaine Tome 1 premier Embryologie Osteology”  L. Battaile et Cie, Paris, 1892

フランスの解剖学者ポール・ポワリエ(Paul Poirier)による“Traite de anatomie humanie”の第1巻。内容は、発生学、骨学、靭帯学で、そのうち骨学の図版の大半はエコール・デ・ボザールの美術解剖学教授マティアス・デュヴァル(Mathias Duval, 1844-1907)のアシスタントを務めたエドゥアルド・キュイエ(Édouard Cuyer, 1852-1909)が手がけている。キュイエの図は傍に「Ed. Cuyer」とサインが入っているので判別しやすい。
 本書は医学書であるため、デュヴァルとの共著である『美術解剖学』よりもキュイエの手がけた図版は多い。とくに骨における筋のフットプリント(付着部位)を表した図は、腱性の付着と、筋性の付着が書き分けられており、現在のものよりも詳細である。この詳細な情報量には頭がさがる。
 美術解剖学領域の人物が医学領域の図版を手がけている点で、20世紀初頭における両学問の距離は現在よりも近かったと考えられる。第2巻にはデュヴァルの後任であるポール・リシェが関わった。
(初版、筆者蔵)

2015/10/13

Reference: Hendric Punt “Bernhard Siegfried Albinus (1697-1770) ON ‘HUMAN NATURE’ Anatomical and physiological ideas in eighteenth century Leiden” (1983)



Reference: Hendric Punt “Bernhard Siegfried Albinus (1697-1770) ON ‘HUMAN NATURE’ Anatomical and physiological ideas in eighteenth century Leiden” 225pp, B.M. Israël B.V., Amsterdam, 1983

オランダの医史学者Hendric Puntによる“Bernhard Siegfried Albinus (1697-1770) ON ‘HUMAN NATURE’ Anatomical and physiological ideas in eighteenth century Leiden(ベルンハルド・ジークフリード・アルビヌスによる「自然な人体」-18世紀ライデンの解剖学的・生理学的なアイデア)
 Albinusの解剖図に関する学術書で、Wandelaar(1690-1759)の観察した模型や描画方法を再現している。本書の研究では、方眼図法を用いて等身大の下図を描き、方眼サイズを縮小させた版下を描いている。再現はライデン大学のメディカルアーティストJ. Tinkelenbergが行った。
 “Homo Rerfectus(完全人体)”を目指した図版は美術解剖学でも度々引用された。本書はその綿密な計画を追体験することができる。
(初版、筆者蔵)

2015/09/03

Reference: “THE ATLANTA DREAM A SPECIAL ISSUE OF (not only) black+white” (1996)


Reference: “THE ATLANTA DREAM A SPECIAL ISSUE OF (not only) black+white” 230pp, Studio Magazines, Sydney, 1996

本書はアトランタ五輪選手たちの裸体写真が掲載された雑誌である。参加した写真家の一人であったJohn Davisは、このときの写真ストックをもとに Simbletとの共著“ANATOMY FOR THE ARTIST”(2001)を制作した。
 内田謙編著『美術解剖図譜』(1978)では、古代ギリシャの彫刻家はギムナシオンの選手たちを観察して裸体の彫刻を彫ったとしているが、写真のモデルとギリシャ彫刻を見比べるとギリシャ彫刻が写実表現ではなく、いかに様式的な形をしているかがわかる。例えば本書を見て「ディスコボロス」や「アンティキテラの青年」を見てみるといい。体表の情報が随分と単純化されているのである。まだまだ人体には表現されていない(もしくは気がついていない)形があり、人体表現の奥深さと可能性を感じさせられる。
(第2版、筆者蔵)

2015/08/14

Reference: Francis Heckel “Grandes & Petites Obésités Cure Radicale” (1920)




Reference: Francis Heckel “Grandes & Petites Obésités Cure Radicale” 538pp, Masson & Cie, Paris, 1920

フランスの医師Francis Heckel(1872-19..?)による“Grandes & Petites Obésités Cure Radicale(大小の肥満の根治)。本書は肥満に関する医学書で、美術解剖書ではないが、図版の多くがRicherから引用されている。中でもレアなのが、Richerが制作したエコルシェの三方向から撮影された写真が掲載されている。
 Richerのエコルシェは1906年にPlon-Nourrit株式会社より販売された。右半身が体表の形状で、左半身が浅層の筋・骨格と脂肪帯になっており、体表との位置関係を比較しながら観察できるようにしてある。石膏製でライフサイズと縮小サイズがあり、ボザールには彩色されたものも収蔵されている。日本では東京芸術大学美術解剖学研究室に縮小サイズが二体収蔵されている。
 Comerは"Figures du corps"の中で、このエコルシェを解剖学的に正確であるが、Houdonよりも重い形状で硬い姿勢をしており、写実的ではないとしている。また、女性のエコルシェを制作する計画もあったようであるが皮下脂肪と筋の位置関係の問題で断念したとしている。
(第2版、筆者蔵)

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