2015/04/30

Julien Fau "HUMAN ANATOMY FOR ARTISTS A NEW EDITION OF THE 1849 CLASSIC" (2009)



Julien Fau "HUMAN ANATOMY FOR ARTISTS A NEW EDITION OF THE 1849 CLASSIC" 110PP, Dover, New York, 2009


フランス人解剖学者のJulien Fau(1811-1880)による「人体の形状の解剖学アトラス」の英訳リプリント版。オリジナルは"Atlas de L'Anatomie des Formes du Corps Humain A L'usage des Peinters et des Sculptures"(1845)で、その後、Robert Knoxによって英訳版"The Anatomy  of External Forms of Man, intended for the use of Artists, Painters and Sculptures by Doctor J. Fau Atlas"(1848)が出版された。リプリント版が多数出ているが、カラー版はオリジナルの仏語版から、モノクロ版は英語訳版からの複写である。(*1)
 Fauの図譜は美術解剖において最も詳細な図譜の一つで、リトグラフ特有の密度のある描写になっている。局所的な骨学、筋学に加え、一部正中神経や上腕動脈など体表に近い神経・脈管が描かれ、巻末には古代ギリシャの有名作のスーパーインポーズによるエコルシェ図などが描かれている。英語訳版で加えられた「ディスコボロス」と「ボルゲーゼの剣闘士」のエコルシェ、その後の巻末に付けられたプロポーション図など2ページは、それ以前の解剖図と絵のタッチが違う。英語版は初版と第二版で女性の全身図が改訂され、より自然な姿勢になっているが、本書では図版が改訂前のため、複写に初版が用いられたことがわかる。
(リプリント版、筆者蔵)


*1:『美術解剖学雑誌 11号』pp.50-51, 2007 宮永美知代、島田和幸「河鍋暁斎の解剖図と描画としての骸骨図」

2015/04/28

John S. Barrington "ANTHROPOMETRY AND ANATOMY" (1953)



John S. Barrington "ANTHROPOMETRY AND ANATOMY" 112pp, ENCYCLOPAEDIC PRESS, London, 1953

ジョン・S・バリントンによる「人体計測と解剖学」。バリントンは英国の裸体写真家。本書は写真表現で美術解剖書を試みた内容になっており、ミケランジェロのダヴィデなど有名彫刻と同様のポーズをとったモデルの写真などが多数掲載されている。筋骨格の解剖学的内容の他に人体計測が主になっており、写真上の体表のランドマークから人体のプロポーションを計測している。オリジナルの解剖図は簡易で、トムソンやリッシェなど他の書籍からの引用が見られる。
(第3版、東京芸術大学美術解剖学研究室蔵)

William Rimmer "ART ANATOMY" (1962)



William Rimmer "ART ANATOMY" 153pp, Dover, New York, 1962

ウィリアム・リマー(1816-1879)による「美術解剖」(オリジナルは1877年出版)。リマーはイギリス生まれの画家、彫刻家、解剖学者(リプリント版にはM.D.表記あり)。ニューヨークのクーパー・ユニオンで女性のためのデザイン学校の教授を勤めた。掲載された図の多くはリマーによるオリジナルだが、全身骨格はファウからの引用が見られる。筋骨格図は実際の解剖体を観察した情報が含まれているのと、起伏に強いこだわりがあるのか、図は実際の人体よりも起伏が強調され、それだけではなく起伏を示すために前腕などにリング状の横線が描き込まれている。見方も美術的で、上肢の筋をバラバラに描いている図など解剖学では見られないアプローチをしている。前腕の前腕の筋は筋どうしが癒合しているため、図のように分割出来たかは不明。リマーのクセのある図はデューラーや、ルネサンス後期の素描を彷彿させる。
(リプリント版、筆写蔵)

2015/04/27

John Raynes "Human Anatomy for the Artist" (1979)




John Raynes "Human Anatomy for the Artist" 192pp, Cresent books, New York, 1979

ジョン・レインズ(1929-)による「芸術家のための人体解剖学」。レインズはイギリスの画家、美術教師。本人によるスーパーインポーズの筋肉図や骨標本のスケッチ、人体素描などが掲載されている。鉛筆による素早いストロークの素描や、ペンによる点描など表現の強い解剖図になっており、解剖学と人体素描の描画法を合わせたような内容になっている。なかでも点描による骨格図の試みは解剖図としても珍しい試みだろう。巻末には写実的な彫刻や絵画の有名作を掲載している。
(初版、東京芸術大学美術解剖学研究室蔵)

Walter Farrington Moses "ARTISTIC ANATOMY Plus a Portfolio Drawings of Old and Modern Masters" (1939)




Walter Farrington Moses "ARTISTIC ANATOMY Plus a Portfolio Drawings of Old and Modern Masters" 151pp, Borden, California, 1939

ウォルター・ファリントン・モセス(1874-1947)による「美術解剖」。モセスはアメリカの風景画家、シカゴのファッションイラストレーション学校で講師を勤めた。図版のほとんどはリッシェとトムソンからの引用で、いくつかの全身図は新たに描き起こされたものであるが、女性の全身図は脂肪層を考慮していないため、腰部の筋が発達した状態に描かれている。巻末にはルネサンスから近代までの画家による素描が追加されている。
(ペーパーバック版、東京芸術大学美術解剖学研究室蔵)

2015/04/24

Brune Hogarth "DYNAMIC ANATOMY" (1958)



Brune Hogarth "DYNAMIC ANATOMY" 232pp, Watson-Guptill, New York, 1958

バーン・ホガース(1911-1996)による「動的解剖学」。ホガースはアメリカの漫画家、美術教育者。代表作に「ターザン」がある。本書の冒頭はヴェサリウス「ファブリカ」の紹介から始まり、西洋美術における時代様式の概説を行っている。その後に掲載された解剖図はホガース流に描かれ、筆勢による流線型と起伏の陰影によって表現されている。図の多くは浅層の筋で、骨に関しては手や下肢の関節などを除いてほとんど描かれていない。内部構造をボリュームに置き換えて把握する手法はブリッジマンと似ている。日本でも漫画家のための美術解剖書が出版されているが、「アクセスしにくいけれど需要のある情報」を上手く収集し、咀嚼して供給する点は美術解剖書のあり方として参考になる。
(第9版、1978、東京芸術大学美術解剖学研究室蔵)

2015/04/23

Edouard Lanteri "Modelling and Sculpture A Guide for Artists and Students vol.III" (1965)



Edouard Lanteri "Modelling and Sculpture A Guide for Artists and Students volume III" 233pp, Dover, New York, 1965

ランテリによる「モデリング 教師と学生のための手引き」の第3巻。この巻の謝辞はオーギュスト・ロダンが書いている。内容は塑像的な技術が中心だが、アングルの作り方や型取りの方法のあいまに動物解剖学が紹介されている。モデルには馬、ライオン、牛といった造形的需要の高い動物が選ばれ、骨格と表層の筋が外形のシルエットとともに図示されている(馬のみエコルシェ像を制作)。解剖図はエレンバーガーのトレースの他、いくつかはランテリによる塑像の写真から描き起こされた。ライオンや牛の像は、門や建物の入り口など、二対一組で制作されることが多いためか、左右を反転させた図が掲載されている。
(リプリント版、筆写蔵)