Victor Perard “ANATOMY AND DRAWING” 196pp, Victor Perard, New York, 1928
ニューヨーク・クーパー・ユニオンの解剖学講師ヴィクター・ペラードによる『解剖学と素描』。初版はペラードによる自費出版で、のちにDover出版からリプリント版が出版された。
20世紀初頭の素描教育と結びついた美術解剖書の一つである。内容も当時は新しいものが多く、人体の横断面図や、骨格のフットプリント図は、医学書には見られたものの美術解剖ではあまり見かけない。解剖図は迫真の描写よりも、運動時の体表の起伏が重要視された、シンプルなものになっている。写真をトレースしたような輪郭に迷いのない線描も見られる。巻末にはエコルシェと称して様々な姿勢をした筋肉人の群像が描かれている。
図版の引用はファウ、マーシャル、リシェ、フリップ/トンプソンなどが見受けられる。リシェの引用に関しては、大腿の図にリシェ独特の「大腿筋膜の肥厚部」が描かれていてペラードは「Richer’s Ligament(リシェ靭帯)」と訳している。ヘイルは1971年の翻訳版で「Richer’s Band(リシェバンド)」と訳していたが、それ以前からリシェの名前を付けて訳されていたようである。
(初版、筆者蔵)