2016/09/20

Kawamura, Tamiji. "Geiyou kaibougaku (Artistic anatomy)" (1913)






川村多實二『藝用解剖學』興文社,大正2(1913)年
Kawamura, Tamiji. Geiyou kaibougaku (Artistic Anatomy). Tokyo: Kyoubunsha; 1913. / 220×152mm, 274pp.
著者:1883-1964. 日本の動物学者.京都帝国大学動物学教授.京都市立美術大学学長(現・京都市立芸術大学,任期:1957-1963).

 本書が川村の最初の著作である.出版に至った経緯は不明だが,川村は当時の美術において人体解剖学の需要が高まっていたが,和書で記述された適切な美術解剖学書がないためとしている.川村の執筆当時の役職は,京都帝国医学大学生理学教室の助手であった.
 内容は,美術と解剖学の関係,骨格と筋の総論・各論,表情,動物,人体プロポーションとなっている.各論は脊柱,胸腹部,肩,上腕,前腕,手,腰部,大腿,下腿,足,頸部,頭部の順で医学書的に整理されている.筋骨格図や運動図の引用元は不明(おそらく医学書であろう),キャンパーの顔面角,デュシェンヌの表情筋研究,ベルの表情研究など美術に関係のある解剖学書が掲載されている.美術作品は,主に新古典主義の巨匠アントニオ・カノーヴァの彫刻が使用され、ミケランジェロのダヴィデや古代ギリシア彫刻のラオコーン像,ボルゲーゼの剣闘士などの彫刻も掲載されている.
(初版,筆者蔵)

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