2015/07/31

Summery of the artistic anatomy books: July 2015

1886: Julien Fau/Edouard Cuyer “ANATOMIE ARTISTIQUE DU CORPS HUMAIN”
1965: Richard G. Hatton “Figure Drawing”
1976: George Stubbs “THE ANATOMY OF THE HORSE”
2006: Sir Alfred Fripp/Ralph Thompson “HUMAN ANATOMY FOR ART STUDENTS”

Reference

2015/07/30

August Froriep “ANATOMIE FÜR KÜNSTLER. KURZGEFASSTES LEHRBUCH DER ANATOMIE, MECHANIK, MIMIK UND PROPORTIONSLEHRE DES MENSCHELICHEN KÖRPERS” (1880)




August Froriep “ANATOMIE FÜR KÜNSTLER. KURZGEFASSTES LEHRBUCH DER ANATOMIE, MECHANIK, MIMIK UND PROPORTIONSLEHRE DES MENSCHELICHEN KÖRPERS” 128pp, Breitkoph & Härtel, Leipzig,1880

ドイツの解剖学者、Tübingen大学の解剖学教授August von Froriep(1849-1917)による“ANATOMIE FÜR KÜNSTLER. KURZGEFASSTES LEHRBUCH DER ANATOMIE, MECHANIK, MIMIK UND PROPORTIONSLEHRE DES MENSCHELICHEN KÖRPERS(芸術家のための解剖学 簡潔な解剖学の教科書 人体の構造、表情とプロポーション)。日本では『新編美術解剖図譜』(1984)として出版された。
 テキストと図譜のパートに分かれ、図は黒と朱の二色刷りになっている。テキストパートでは、頭蓋腔や表情、運動、比較解剖学など図を交えて幅広く扱っている。図譜パートでは骨格と筋の図が描かれている。それぞれが並んで描かれ、骨格と筋の位置関係が見比べられるようにデザインされている。巻末のプロポーションの図はほとんどのものがSchadowからの引用だが、最後の図のみオリジナルで、罫線で表現されている。
(第二版、筆者蔵)

2015/07/29

Julien Fau “ANATOMIE ARTISTIQUE ÉLÉMENTAIRE DU CORPS HUMAIN” (1850)




Julien Fau “ANATOMIE ARTISTIQUE ÉLÉMENTAIRE DU CORPS HUMAIN” 55pp, J.B.  Bailliére, Paris, 1850

フランスの解剖学者Julien Fauによる“ANATOMIE ARTISTIQUE ÉLÉMENTAIRE DU CORPS HUMAIN(美術解剖学 人体の要素)。本書は通称「le petit Fau」と呼ばれ、19世紀中盤から後半にかけてヨーロッパで親しまれた美術解剖のハンドブックである。Röhrlの調査によれば第7版まで増刷され、英語訳(第11版 1905)とドイツ語訳(1942)がある。
 本書は大判の「Atlas(通称Grand Fau)」の縮小版で、図版はモノクロの銅版画に置き換えられている。原画がリトグラフのため、銅版画としてはきめ細かく繊細な印象になっている。「Atlas」には体表や性差、年齢差の図があるが、こちらの「le petit Fau」には含まれていない。後年出版されたCuyerとの共著には本書の図版が用いられた。
(第7版、筆者蔵)

2015/07/28

Julien Fau “ATLAS DE L’ANATOMIE DES FORMES DU CORPS HUMAIN A L’USAGE DES PEINTERS ET DES SCULPTURES” (1866)



Julien Fau “ATLAS DE L’ANATOMIE DES FORMES DU CORPS HUMAIN A L’USAGE DES PEINTERS ET DES SCULPTURES_DEUXIÉME ÉDITION RETOUCHÉE ET AUGMENTÉE” 44pp. MÉQUIGNON-MARVIS/GERMER BAILLIÈRE, Paris, 1866

Fauのアトラス、通称『Grand Fau』はモノクロ版と多色刷りのカラー版が用意された。
 二つの版を比較すると、カラー版は筋と腱の差異が明瞭に見え、絵画的な空間感があるのに対し、モノクロ版は銅版画や木版画と比べてシャープさには欠けるものの、色彩のコントラストが少なく形態がよく見える。タイトルにあるように、画家(色彩)と彫刻家(形態)のためにそれぞれの版が用意されたと考えるのは飛躍しすぎであろうか。
 Plate 25のラオコーンのエコルシェは、大理石の彫刻が生身として色鮮やかに表現され、美術作品の解析としても新鮮な印象である。
(第二版、筆者蔵)

2015/07/27

Giuseppe del Medico “ANATOMIA PER USO DEI PITTORI SCULTORI” (1811)




Giuseppe del Medico “ANATOMIA PER USO DEI PITTORI SCULTORI” 122pp, Presso Vincenzo Poggioli, Roma, 1811

Accademia di San Lucaの教授、Giuseppe del Medicoによる “ANATOMY PER USO DEI PITTORI SCULTORI(画家と彫刻家のための解剖学)Accademia di San LucaBerniniが校長を務めたこともある。タイトルページにMedicoは手術の教授とある。
 本書は美術のための解剖学アトラスに分類される。38枚の銅版画のプレートが添付され、骨格と筋の図のほかに、美術解剖では珍しい脳や胸腹部内臓も描かれている。ほかにボルゲーゼの闘士の図や頭頚部の腺の図もある。全身骨格図はAlbinus、女性全身骨格図はSemmeringから引用されている。最後に胸腹部内臓が描かれているが、特に珍しいのは背面から観察した図である。大動脈に沿って肋間動脈や腰動脈の分岐部が描かれている。図のレイアウト含めて独特の編集になっている。
(1813年版、筆者蔵)

2015/07/26

Anatomical model by Edouard Lanteri (1901)


Anatomical model by Edouard Lanteri (1901)

イギリスの彫刻家、サウスケンジントンアートスクール教授のLanteriによる解剖学模型。Modeling”の中でデモンストレーションを行ったエコルシェで、像高は88cm、大きく弓なりに反り、まどろむような表情と姿勢が特徴的である。目線や左腕、両足が地山の対角線上を向いていたり、形態に計画性がうかがえる。ディティールもしっかりしており、右の広背筋が烏口腕筋の下方に入り込む様子も観察できる。
 現在はイタリアのFelice Calchiにて樹脂による複製版が購入可能である。
 イラストレーションは塑像の記録写真から描き起こしたため、土台の形状が違うのと左手に持った支持棒が土台まで伸びている。
(筆者模写)

Illustration from Paul Richer “Anatomie Artistique”(1890)



この図は筆者が学生時代に受けた美術解剖の授業の中で「Paul RicherAnatomie Artistique(現行版)”の図は、局所と局所で連続性を持ち、全身が合成できるように計画されている」と阿久津裕彦先生より教わり、その後実際に描いてみた図である。
 若干陰影が付けられているので、厳密には自然な見た目にはならないが、全体の印象を見るのには良い。合成して全身を再現すると上肢がかなり長い印象になっている。
(筆者模写)

Reference: “CATALOGUE OF PLASTER REPRODUCTIONS FROM ANTIQUE, MEDIVAL AND MODERN SCULPTURE” (1911)



Reference: “CATALOGUE OF PLASTER REPRODUCTIONS FROM ANTIQUE, MEDIVAL AND MODERN SCULPTURE” 236pp, P.P.Caproni and Bros. Co., Boston, 1911

本書はボストンにあったCaproni社の石膏像カタログで、おびただしい石膏像コレクションの中に解剖学の模型が掲載されている。Caproni社のコレクションは現在Guist Galleryが引き継いで販売しており、ホームページからからいくつかのものが入手可能である。
(1911年版、筆者蔵)


No.21011 attributed to Simonis: http://www.giustgallery.com/products/anatomical-torso-item-624

2015/07/25

Reference: “Plaster Casts for Art Education & Decoration” (1902)



“Plaster Casts for Art  Education & Decoration” 96pp, Chapman & Hall, London, 1902

本書はChapman & Hall社が出版した石膏像のカタログである。様々な美術教材用石膏像のコレクションの中に、いくつか解剖学模型が掲載され、Lanteriのエコルシェ像も含まれている。Lanteriの著したModeling and SculptureもChapman & Hall社から同年に出版された。
 他に注目すべき点は、Lanteriによる塑像プロセスを型取りした石膏像である。制作途中の状態と完成の仕上がりが同時に見比べられる石膏像は珍しい。
(初版、筆者蔵)

Richard G. Hatton “Figure Drawing” (1925, 1965)


Richard G. Hatton “Figure Drawing” 350pp, Dover, New York, 1965

画家Richard George Hatton(1864-1926)による“Figure Drawing”のリプリント版。初版は1921年にイギリスのChappman & Hall社から出版された。本書は人体素描のHow to本であるが、内容に解剖学を含む。
 分類としてはテキストブックに含まれる。図版はオリジナルだが簡素である。こうした美術の入門書は内容が体系的にならず、情報量も少なくなる傾向があるが、著者の視点と調査を元に細かい解説が積み重ねられている。例えば、骨盤のオリエンテーション(側面観で上前腸骨棘と恥骨結合を結んだ角度)が男性は後傾、女性は前傾と解説がある。現在の解剖書では前述の二点間がほぼ垂直に並ぶように解説される。
 序盤には描写の方法や形態の把握方法、後半には衣紋の捉え方など、解剖学の他にまとめられた情報も興味深い。
(リプリント版、筆者蔵)

2015/07/24

L. Heupel-Siegen “PLASTICHE ANATOMIE DES MENSCHEN” (1913)




L. Heupel-Siegen “PLASTICHE ANATOMIE DES MENSCHEN” 184pp, FERDINAND ENKE, Stuttgard, 1913

ドイツの画家、デュッセルドルフ応用芸術大学の教授Ludwig Wilhelm Heupel-Se
iegen(1864-1945)による“PLASTICHE ANATOMIE DES MENSCHEN(美術用人体解剖学)。教授職は1894年から1904年まで務め、本書は退官後に出版された。図はPaul Matherが手がけている。
 前半に人体素描の図版とテキスト、後半に解剖図が骨学と筋学の順で掲載されている。掲載された素描のいくつかはHeupel-Siegenによる。解剖図はオリジナルのもので、黒と赤の二色刷りで4階調の陰影が付けられている。喉頭や眼窩の筋、内耳など外形に影響を及ぼさない部位まで描かれており、情報が盛り込まれている。理路整然と体系立てられ、解剖書のような印象がある。
(初版、筆者蔵)

Kunstgewerbeschule Düsseldorf: https://de.wikipedia.org/wiki/Kunstgewerbeschule_D%C3%BCsseldorf

2015/07/22

W.J. Muckley “THE STUDENT’S MANUAL OF ARTISTIC ANATOMY” (1878)




W.J. Muckley “THE STUDENT’S MANUAL OF ARTISTIC ANATOMY” 55pp, Tindall and Cox, London, 1878

Manchester school of artの校長を務めたイギリスの画家William Jabez Muckley(1837-1905)による“THE STUDENT’S MANUAL OF ARTISTIC ANATOMY”。本書は学生のためのハンドブックとして製作された。美術出身の作家が描いた美術解剖書のため、記述は簡潔なものになっている。
 図版は25ページで、図の多くはAlbinusFauの英訳版から引用されている。後半にはオリジナルの図版がいくつか掲載され、エコルシェの図はJ.E. Caudron(1845)のものから描き起こされた。Muckleyは序文のなかでKnoxの訳によるFauの美術解剖書が最も良いと紹介している。
(初版、筆者蔵)

Manchester school of art: http://www.art.mmu.ac.uk/

J. H. Lavater “ÉLÉMENS ANATOMIQUES D’OSTÉOLOGIE ET DE MYOLOGIE A L’USAGE DES PEINTRES ET SCULPTEURS” (1797)



J. H. Lavater “ÉLÉMENS ANATOMIQUES D’OSTÉOLOGIE ET DE MYOLOGIE A L’USAGE DES PEINTRES ET SCULPTEURS” 159pp, Veuve Tilliard, Paris, 1797

ドイツの人相学者Johann Casper Lavater(1741-1801)の息子、Johann Heinrich Lavater(1768-1819)による “ÉLÉMENS ANATOMIQUES D’OSTÉOLOGIE ET DE MYOLOGIE A L’USAGE DES PEINTRES ET SCULPTEURS(画家や彫刻家が使用するための骨学と筋学の解剖学的要素)”。本書はドイツ語版からの仏語訳である。翻訳はGautier de la Peyronieによる。
 図版はAlbinusからの模写である。骨格図と筋肉図を二色刷りによって重ねた図がオリジナルには見られない。Albinusの図譜は、同じ視点からの骨格と筋肉の図が重なるように計画されているため、本書に用いられた図のようなプレゼンテーションができた。
(仏語訳初版、筆者蔵)