Paul Richer “Physiologie artistique de l’homme en mouvement” 356pp, Octave Doin, Paris, 1892
フランスの解剖学者、彫刻家のRicherによる“Physiologie artistique de l’homme en mouvement(美術のための生理学 男性における運動)”。Richerの大著である“ANATOMIE ARTISTIQUE DESCRIPTION FORMES EXTÉRIEURES DU CORPS HUMAIN”(1890)の2年後に出版された。
本書は運動器の構造やその運動時の形態について書かれた美術解剖書で、Richerの詳細な所見が随所に見られる。例えば前腕の屈曲時の上腕のスーパーインポーズ図では、上腕二頭筋の深層に上腕筋を描いている。屈曲時の姿勢に上腕二頭筋を透過させて描いた図はあるが、上腕筋まで含む図は少ない。こちらの方がより精細な構造をイメージできるのと、上腕筋の外側頭が描かれており、ディティールに対して信頼がおける。腹直筋の図においても、恥骨結合の停止のディティールが興味深い。後半の運動の軌跡を示した概念図では、デュシャンの『階段を降りる裸体 No.2』(1912)を彷彿とさせる図が描かれている。それぞれの図からは、単に観察しただけでは得られないような客観的な視座が感じられる。
(ウェブアーカイブ版)
web archive: https://archive.org/details/physiologieartis00rich
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