Julien Fau "HUMAN ANATOMY FOR ARTISTS A NEW EDITION OF THE 1849 CLASSIC" 110PP, Dover, New York, 2009
フランス人解剖学者のJulien Fau(1811-1880)による「人体の形状の解剖学アトラス」の英訳リプリント版。オリジナルは"Atlas de L'Anatomie des Formes du Corps Humain A L'usage des Peinters et des Sculptures"(1845)で、その後、Robert Knoxによって英訳版"The Anatomy of External Forms of Man, intended for the use of Artists, Painters and Sculptures by Doctor J. Fau Atlas"(1848)が出版された。リプリント版が多数出ているが、カラー版はオリジナルの仏語版から、モノクロ版は英語訳版からの複写である。(*1)
Fauの図譜は美術解剖において最も詳細な図譜の一つで、リトグラフ特有の密度のある描写になっている。局所的な骨学、筋学に加え、一部正中神経や上腕動脈など体表に近い神経・脈管が描かれ、巻末には古代ギリシャの有名作のスーパーインポーズによるエコルシェ図などが描かれている。英語訳版で加えられた「ディスコボロス」と「ボルゲーゼの剣闘士」のエコルシェ、その後の巻末に付けられたプロポーション図など2ページは、それ以前の解剖図と絵のタッチが違う。英語版は初版と第二版で女性の全身図が改訂され、より自然な姿勢になっているが、本書では図版が改訂前のため、複写に初版が用いられたことがわかる。
(リプリント版、筆者蔵)