2015/09/30

Claire Barbillon “LES CANON DU CORPS HUMAIN AU XIXe SIÈCLE L’ART ET LA RÈGLE” (2004)


Claire Barbillon “LES CANON DU CORPS HUMAIN AU XIXe SIÈCLE L’ART ET LA RÈGLE” 386pp, Odile Jacob, Paris, 2004

フランス国立美術史研究所在籍、エコール・デ・ルーヴルの研究ディレクターClaire Berbillon(1960-)による “LES CANON DU CORPS HUMAIN AU XIXe SIÈCLE L’ART ET LA RÈGLE(19世紀における人体のキャノン その美術とルール)
 本書はプロポーションに関する記述をまとめた書籍で、本文や参考文献には1521年のCesarianoによる「建築十書」コモ版から2000年まで書籍の記載がある。ただし、19世紀に引用されたものを中心にして記述されているため、オリジナルではなく19世紀に引用された図版を使用していることがある。
 プロポーションの記述に限定されているものの、DuvalRicherなどの美術解剖書の引用や参考文献も多く、19世紀の美術解剖書の通史編纂のためには重要な書籍となる。
(初版、筆者蔵)

2015/09/29

Alberto Lolli, Mauro Zocchetta, Renzo Peretti “STRUTTURA UOMO Manuale di anatomia artistica vol.1” (1998)


Alberto Lolli, Mauro Zocchetta, Renzo Peretti “STRUTTURA UOMO Manuale di anatomia artistica vol.1” 189pp, Neri Pozza, Vicenza, 1998

Academy of art university美術解剖学教授Alberto Lolli, ベネツィア芸術大学美術解剖学教授Mauro Zocchetta, 同大学美術解剖学教授Renzo Perettiによる“STRUTTURA UOMO Manuale di anatomia artistica vol.1(人体の構造 美術解剖学の教科書 vol.1)
 本書は人体の構造を概念的形態に置き換えて把握する美術解剖書で、鉛筆によって描かれた図はまるで機械の図面のようである。一度概念形態に置き換える手法はBammesからの影響が伺えるが、本書ではすべての図版が面取り図のようになっており、さらに進んだ印象になっている。こうした試みは解剖体を肉眼で観察することができない学生たちにとって把握しやすく、教員にとっては教えやすいのかもしれない。
 増版を重ねており、近年の美術解剖書としてはヒット作になっている。
(第15版、筆者蔵)

2015/09/28

Edme Bouchardon “L’ANATOMIE NECESSAIRE POUR L’UASAGE DU DESSIN” (1741)




Edme Bouchardon “L’ANATOMIE NECESSAIRE POUR L’UASAGE DU DESSIN” 17pp, Chez J. Fr. Chereau, Paris, 1741

フランスの彫刻家Edme Bouchardon(1698-1762)による “L’ANATOMIE NECESSAIRE POUR L’UASAGE DU DESSIN(素描を描く際に必要な解剖学)
 銅版画による18世紀後半の美術解剖図で、オリジナルの全身の骨格と筋の図、骨格の上に筋の線描が加筆された三面図が掲載されている。銅版は銅版画家で肖像画家のJacques Gabriel Huquier(1695-1772)による。図中の文字は手作業によって後から書き込まれている。図は解剖体からスケッチされた節があり、外側広筋の斜頭など細かいディティールも描かれている。
 腋下を見せるために右腕を挙上させた姿勢は、Bouchardonのエコルシェ彫刻(1741)と一致している。彫刻と書籍がセットになっており、教材としてお互いの表現方法の見せ方を補完するものになっている。
(1802年新装版?、筆者蔵)

2015/09/26

Fritz Schider “Plastisch- Anatomischer Handatlas” (1898)





Fritz Schider “Plastisch- Anatomischer Handatlas” 20pp+100plates, Verlag von Seemann & Co, Leipzig, 1898

ドイツの画家Fritz Schider(1846-1907)による“Plastisch- Anatomischer Handatlas(美術解剖学ハンドアトラス)現行版Dover publicationsより出版されている。
 現行版とは異なり、Kollmannの書籍で使用した図のほかに、水彩による図版が掲載されている。水彩の図はスーパーインポーズ法で石膏像や人物素描に基づいた内部構造を描いている。様々な美術解剖書からの引用がなされており、ボルゲーゼの闘士図はSalvageもしくはDuval, 運動時の図ではRicher, スーパーインポーズ図ではThomsonからの影響が見られる。
 プロポーション図にミケランジェロのプロポーションが掲載されているが、この図はそのネームバリューから他の書籍でも引用された。実際にミケランジェロがこのプロポーションを使っていたかどうかは不明である。
(1898年版、筆者蔵)

2015/09/24

Wilhelm Tank “FORM UND FUNKTION EINE ANATOMIE DES MENSCHEN BAND 4,5” (1955-1957)








Wilhelm Tank “FORM UND FUNKTION EINE ANATOMIE DES MENSCHEN BAND 4” 80pp,  Veb Verlag der Kunst, Dresden, 1955

Wilhelm Tank “FORM UND FUNKTION EINE ANATOMIE DES MENSCHEN BAND 5” 104pp,  Veb Verlag der Kunst, Dresden, 1957

ベルリン美術アカデミーの美術解剖学教授Wilhelm Tank(1888-1967)による“FORM UND FUNKTION EINE ANATOMIE DES MENSCHEN (形態と機能、一つの人体解剖学)の第45巻。
 4巻は人体のプロポーションがまとめられている。男女や局所の比率、様々な体型や人種、顔面のバリエーション、年齢差などが掲載されている。基本的にはウィトルウィウス式の8頭身プロポーションだが、罫線を使って人体をさらに細かく分割し、地面から頭頂までを56等分している。局所のプロポーションはRicherの影響がうかがえる。
 5巻は運動がまとめられている。道具を使ったり、ものを運んだり、スポーツをしたりといった様々な動作中の裸体図が掲載されている。メインは運動の解説ではなく、運動中の一瞬を描いた図版を参考にするポーズ集といった印象である。Michelangeloによるシスティーナ礼拝堂天井画から引用した図もある。
(初版、筆者蔵)

2015/09/23

Hubertus Cornelius Anton Leopold Fock “ANATOMIE CANONIQUE OU LE CANON DE POLYCLÈTE” (1865)




Hubertus Cornelius Anton Leopold Fock “ANATOMIE CANONIQUE OU LE CANON DE POLYCLÈTE” 33pp, Kemink et Fils, Utrecht, 1865

Hubertus Cornelius Anton Leopold Fockによる “ANATOMIE CANONIQUE OU LE CANON DE POLYCLÈTE(カノンの構造またはポリュクレイトスのカノン)。プロポーションの研究が掲載された530x800mmの大型書籍である。
 ポリュクレイトスのカノンとは、前5世紀のアルゴスの彫刻家ポリュクレイトスが記述した造形理論のことで、著作は現存しておらず、古代ギリシャの美的構造を解析しようと様々な研究者たちが取り組んだ。美術解剖ではSchadowのものが有名である。
 本書では方眼図法で男女の人体像や古典彫刻の解析が行われている。解剖学的な情報は主に骨格が掲載されている。Weber、Cloquet、AlbinusFauの全身骨格図が同一ページに引用され、それぞれの図を比較できるようになっている。古典彫刻では、カピトリーノのヴィーナス、ミロのヴィーナス、ベルデヴェーレのアポロンに混じってHoudonのエコルシェの図が掲載されている。
(ウェブアーカイブ版)

2015/09/21

George B. Bridgman “BRIDGMAN’S COMPLETE GUIDE TO DRAWING FROM LIFE” (1952)




George B. Bridgman “BRIDGMAN’S COMPLETE GUIDE TO DRAWING FROM LIFE” 356pp, Sterling Publishing Co., New York, 1952

アート・スチューデンツ・リーグ・オブ・ニューヨークの講師George Brandt Bridgman(1865-1943)による“BRIDGMAN’S COMPLETE GUIDE TO DRAWING FROM LIFE”。編集はHoward Simonによる。
 本書はBridgmanの没後に出版された総集編で、Constructive Anatomy”(1920), “The Book of a Hundred Hands”(1920),  “Bridgman's Life Drawing”(1924), “Heads Features and Face”(1932), “The Human Machine”(1939), “Drawing the Draped Figure”(1942)の中からかいつまんで再編集されている。内容は、全身、頭部、上肢、下肢、衣紋の順で掲載されている。こうしてBridgmanの仕事を俯瞰してみると、指先などのディティールの情報がしっかりしている。
(初版、筆者蔵)

2015/09/20

Gottfried Schadow “LEHRE VON DEN KNOCHEN UND MUSKELN VON DEN VERHAELTNISSEN DES MENSCHLICHEN KORPERS UND VON DEN VERKUERZUNGEN”(1830)




Gottfried Schadow “LEHRE VON DEN KNOCHEN UND MUSKELN VON DEN VERHAELTNISSEN DES MENSCHLICHEN KORPERS UND VON DEN VERKUERZUNGEN” 30pp + 25plates, Ernst Wasmuth, Berlin, 1830

ドイツの彫刻家、プロイセン王立芸術大学教授Gottfried Schadow(1764-1850)による “LEHRE VON DEN KNOCHEN UND MUSKELN VON DEN VERHAELTNISSEN DES MENSCHLICHEN KORPERS UND VON DEN VERKUERZUNGEN(人体の骨や筋肉の状態やに関する研究)。 “POLICLET”に引き続き大型の美術解剖書である。こうした大型書は、レンブラント『テュルプ博士の解剖学講義』(1632)に描かれているように複数人で鑑賞することができる。
 本書に描かれた図版の多くはAlbinusに基づいており、女性の骨格図はSemmeringから影響を受けている。模写ではあるものの筋肉人図などアレンジされている。巻末には“POLICLET”にも使用されたプロポーションの研究が掲載されている。
(1892年版、筆者蔵)

2015/09/17

Wilhelm Tank “FORM UND FUNKTION EINE ANATOMIE DES MENSCHEN BAND 2,3” (1953, 1955)







Wilhelm Tank “FORM UND FUNKTION EINE ANATOMIE DES MENSCHEN BAND 2” 80pp, Veb Verlag der Kunst, Dresden, 1953

Wilhelm Tank “FORM UND FUNKTION EINE ANATOMIE DES MENSCHEN BAND 3” 75pp, Veb Verlag der Kunst, Dresden, 1955

ベルリン美術アカデミーの美術解剖学教授Wilhelm Tank(1888-1967)による“FORM UND FUNKTION EINE ANATOMIE DES MENSCHEN (形態と機能、一つの人体解剖学)の第23巻。
 第2巻は体幹と上肢の解剖学。骨格と筋の形状とフットプリント(筋の付着部位)、体表の図と、各論に添付された局所図、横断面図が体幹と上肢でそれぞれ掲載されている。骨盤の解説はMollierからの影響が見られる。2巻の出版から2年後に3巻が出版された。
 第3巻は頭頸部で、頸部の構造と、表情筋や頭蓋骨の年齢差などが掲載されている。深層部の筋は描かれていないが、バンド図(筋の起始停止間を線で結んだ図)に記されている。巻末に全身の筋肉人が描かれている。この姿勢が独特で、斜めからの視点で多くのディティールが見えるような姿勢で描かれている。この2・3巻で解剖学的な情報が一通り解説された。
(初版、筆者蔵)

2015/09/16

Wilhelm Tank “FORM UND FUNKTION EINE ANATOMIE DES MENSCHEN BAND 1” (1953)




Wilhelm Tank “FORM UND FUNKTION EINE ANATOMIE DES MENSCHEN BAND 1” 75pp, Veb verlag der Kunst, Dresden, 1953

ベルリン美術アカデミーの美術解剖学教授Wilhelm Tank(1888-1967)による“FORM UND FUNKTION EINE ANATOMIE DES MENSCHEN BAND 1(形態と機能、一つの人体解剖学 第1巻)。本書は5巻組の美術解剖書である。内容は簡潔だが濃密で、50年間にわたって美術解剖の教鞭をとり、多くの出版物と記事を書いた実績がにじみ出ている。
 1巻の内容は下肢の骨学と筋学で、FauRicherの影響が見られるものの、オリジナルの詳細な図版が描かれている。書籍のレイアウトも図版も強く、可読性の高い美術解剖書である。中にはミケランジェロに属するとされる筋肉人模型の図も描かれている。この像は石膏像なので色彩はないが、色を加えることでまた違った見え方になる。
(初版、筆者蔵)