2015/05/27

Sarah Simblet “ANATOMY FOR THE ARTIST” (2001)


Sarah Simblet “ANATOMY FOR THE ARTIST” 256pp, DK PUBLISHING, London, 2001

オックスフォード大学のラスキン・スクール・オブ・ドローイングで教鞭をとっているグラフィック・アーティストのSarah Simblet(1972-)による“ANATOMY FOR THE ARTIST”。Simbletは1998年にブリストル大学で博士号を取得している。ドローイングの他に、イギリスの写真家John Davis(1949-)による質の高い写真が用いられている。
 図版には調子や印象を整えるための不要な線やブレのあるストロークが含まれており、隅々まで観察して情報を得るような解剖図とは異なる。一部の図はトレーシングペーパーに印刷され、Simbletによる繊細なドローイングが写真の上に重なり、スーパーインポーズの効果をもたらしている。こうした仕掛けのある解剖図はAnatomical fugitive sheet”とよばれている。特殊な点では、内臓を含む人体図や、脈管・神経の模式図、人体のパーツで構成されたドローイング作品が掲載されている。
 写真では、アスリートの写真の他に有名作と同じポーズをしたもの、血管の注型模型と交連骨格の写真がある。骨格の写真では、照明が肩甲骨を透過しており、その薄さが視覚的に確認できる。内臓や脈管の情報は補助知識的で、掲載内容は少ない。
 Simbletの作品はRoyal Academyなどに収蔵されている。
(初版、筆者蔵)

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