2016/05/18

Jenő Barcsay “Anatomy for the Artist” 1958(2nd ed.)


Jenő Barcsay “Anatomy for the Artist” 142pp, Corvina, Budapest, 1958 (2nd ed.)

 ハンガリーの画家、ブダペスト芸術大学の応用解剖学教授イエヌ・バーチャイによる『芸術家のための解剖学』。筋肉の図や医学的解説は医師のBanabás Somogyiが手がけている。
 頭部など作家による表現の強い図であるが、全身の筋骨格を網羅した書籍である。英訳版によって世界中に普及した。日本でも和訳版が『デッサンのための美術解剖図』として出版された。
 原著はドイツ語で、各項目1ページに満たない簡単な説明のみが添えられている。伝えたい構造の多くは図によって示されている点も美術家たちに受け入れられた理由の1つであろう。解剖図はリシェ様式だが、下肢にリシェバンドは見られない。体表のスケッチが見事で、反射光などの現象に左右されないストロークが形態を追うのに適している。そして、隅々まで描かず、注目させたいところに描写の密度を高めるというのも、本書の図の特徴だろう。素描的な表現である。
 巻末にはバーチャイの作品や、ブダペスト芸術大学の学生が描いた運動時の骨格図も添付されている。学生が解剖図を描けるということは、バーチャイの美術解剖教育が伝わっている証拠であろう。
(第2版、筆者蔵)

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