2016/05/29

José Parada y Santín “Anatomía Pictórica ensayo de antropología artística” 1894




José Parada y Santín “Anatomía Pictórica ensayo de antropología artística” 381pp, Viuda de Hernando y Compañía, Madrid, 1894

 スペインの医師でマドリード美術学校の解剖学教授ホセ・パラダ・サンチン(1857-1923)による『絵画用解剖学 美術人類学のエッセイ』。コンパクトなハンドブックであるが、多岐にわたる内容でボリュームがある。
 内容は、美術解剖学の歴史、骨学、筋学、形態学(表情や性差、運動を含む)、プロポーション、文化人類学の順で掲載されている。文化人類学の章では、主に頭部の美術表現の違いや、人種や文化による形態の違いについて記述されている。
 本文の図版はマーシャルの局所解剖図、キャンパーの顔面角、デュシェンヌの表情研究が引用され、美術解剖の歴史では、アルフェマルティネスザイラー、ルーベンス、ラファエロ、ミケランジェロ、レオナルドなどの解剖図や素描が引用されている。古代ギリシア彫刻『円盤投げ』の骨格図は、サルベージからの流れであろう。上肢と下肢の一部の骨格は写真が用いられている。オリジナリティーの高い図版は、スーパーインポーズ図で、パラダによる図ではないものの、アカデミー教育の人体素描と解剖学が密接に関わっていたことがうかがえる。
(初版、筆者蔵)

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